狼男


ユカリさんはひょっとして・・
藪さんと結婚したいのかな・・?

なんだか一瞬・・無表情の中で、

物寂しそうな表情を浮かべながら、
チーズケーキを口に運んだ気がした。





「でもご安心ください。
子供は2人作ったので。」


「※△■■◇×!?」


「アンナさんがたまに出すその言葉にならない驚き、私は大好きですよ。」


「お子さんいるんですか・・・!?」


「はい。1年置きに子供を作るのが慣わしなので、来年もう一人作ります。

それでひとまず掟は保たれます。」


「え・・いやいや!!
お子さんは今どこに・・?」


「キョウスケが“阿呆。面倒くさい”と言って頑なに育児放棄するので、

乳飲みの期間が終わったところで故郷の藪 総本家に預かって頂いています。

キョウスケは“藪家始まって以来の問題児だ”と私達は度々お叱りを受けてます。」




刑務所に入れられて過ごした期間、色んな・・色んな色んな事情を抱える人と出会った。

だから驚いたものの・・“そういうお家もあるんだ”ぐらいの感覚だった。


でもなんだか・・途端に無表情ユカリさんの事が更に可愛らしく見えてきた。



「だからユカリさんは末っ子気質で、
藪さんはお兄ちゃん気質なんですねっ。」


「アンナさんはやっぱりエロ女気質ですね。」


「!?・・・いやいや違・・!!!」


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