☆表の顔と裏の声★
「七海…」

目を覚ますと私はベッドに横になり、すぐそばには裕也がいて、ぼそっと名前を呼んでいる。

「…ゅぅ、ゃ…く、ん」

私も、どうしても名前を呼びたくなった。

「…か、な…しぃ……の?」

「…似てるって、言っただろ。俺と、七海は…」

「……き、こ……ぇ、る……ょ」

「え!?」

「ゅ、ぅ…や、くん…の……こぇ」

「七海……」


絞り出した微かな声だけど、こんなに長く会話をしたのは初めてで……
裕也は私の声と言葉を聞いて、泣いていた。

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