☆表の顔と裏の声★
「なんか、ドキドキする…」

「そう?」

「裕也くんは何年ぶりなの?」

「ん~10年は経つかな」

「えっ!?それなのに緊張しないの??」

「緊張よりも、七海の声聞いてどんな反応するのか楽しみだよ」

「ふふっ、さすがですね」


私達は児童養護施設を訪れた。

「こんにちは~、あっ!智子先生!お久しぶりです。俺の事分かります?」

「えっ!?あれ!?もしかして裕也くん!?
あら!!七海ちゃん!!どうして2人…」

「…こ、こんにちは。智子先生」

「ぇ……七海ちゃん…」

施設長の智子先生は、私のはっきりとした声を聞いて思わず涙し、ぎゅっと抱きしめてくれた。

そんな私達を見て裕也は得意気に言う。

「俺のおかげだよな!」

「はい。この意地悪カウンセラーのおかげで、
声が出るようになりました」

「あらら、そうだったの!ビックリしたわぁ!
本当に良かった。まさかあなた達が繋がっていたなんてね」


私の声を聞いて心の底から喜んでくれる人が沢山いる事に感激し、そして何より声を引き出してくれた裕也に、心の底から感謝していた。


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