☆表の顔と裏の声★
それぞれの葛藤

~蓮~

施設に来てから1年ちょっと経った頃、
蓮はお母さんがいる家に外泊をする事になった。

蓮に虐待をしていたお母さんも、ずっとカウンセリングを続けて、仕事も真面目にこなし、やっと
外泊許可が下りたのだ。

蓮もいつになく嬉しそう。
けれど、れいはそうでもなかった。

「本当に大丈夫かな…」

私はれいの顔を見て首を傾げた。

「また、叩かれたりしないかな……」

【心配?】

「そりゃね……蓮は自分が悪くなくてもすぐ
謝ったり、ずっとビクビクしてるんだよ。
きっと、お母さんの所に行くのも本当は怖いの
かもしれない」

【れいは、れんの事なんでもお見通しだね】

「蓮が分かりやすいってだけだよ!」

私は何となく気付いていた。
れいは、蓮の事が好きなんじゃないかって。

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