☆表の顔と裏の声★
「あらっ!七海ちゃんが平気だった男性って
裕也君だったの!」

「先生、ご無沙汰してます。今実習でお世話になってまして」

駆けつけた主治医は裕也と親しげに話したあと、
私のそばに来て手を握った。

「もう落ち着いたかな?」

私は色々気になる事はあったが、
とりあえず頷いておいた。

「七海ちゃん、裕也君は平気みたいね!」

たぶん平気。でも何故か頷くのが恥ずかしくて
無反応になってしまった……

「何か不安な事があったのかな?」

主治医がホワイトボードをくれたけど……

(お父さんの事を思い出して…
お父さんにされた事が頭に浮かんだなんて、
この人に知られたくない…)

私はペンを持ったまま何も書けずに、
ただ涙が流れていた。


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