☆表の顔と裏の声★
私はまた病院の待合室にいた。

前回は過呼吸でダウンして、診察もカウンセリングも受けずに帰ったから。

そして今日は1人。
何かを期待しているのか、
病院へ向かう時から胸がドキドキして
手汗が止まらずハンカチを握りしめていた。

「七海ちゃん、こんにちは」

この声……

横を向くとそこには裕也が立っていて、
何故か私は嬉しくなり、にこりと笑った。
それは、考えて作ったものではなく、
自然に出た笑顔に自分でも驚いた。

(これが、私の期待していた事……?)

「今日はいい笑顔だね」

照れた私は思わず下を向いた。

< 44 / 118 >

この作品をシェア

pagetop