☆表の顔と裏の声★
声が出ない
気付くとそこは病院の個室で私1人。
ベッドに横になっていた私の左腕には点滴が
刺さっていて微かに血液が見えた時、私は2人の顔を思い出した。

(死んだんだ。)

その時、私も死んだと思っていると病室の扉が
開いて看護師さんが入ってきた。

「分かる?ここ、病院よ。」

(ぇ……この人、私が見えるの?私生きてるの?)

「痛いところはない?」

「………(痛い。………あれ、声が出ない…)」

私は口だけ小さく動かしていたけれど、
声になっていなかった。

「え?ごめんね、聞き取れなくて。もう1回
教えてくれる?」

「………(痛……ダメだ、やっぱり…出ない)」

諦めた私は首を横に振った。

「そう、ないのね。じゃあ何かあったらこの
ボタン押してくれる?」

今度は首を縦にすると伝わり看護師さんは病室を
出ていった。



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