☆表の顔と裏の声★
慣れてきた仕事もこの時ばかりはなかなか手につかず、頭の中はふわふわしていた。

「青木さん?ボーッとして、具合でも悪い?」

先輩の声にハッと我に返った私は首を横に振った後、頭をペコリと下げ仕事に集中した。

仕事が終わりいつもならそのまま帰るのに、
私はロッカーの鏡を見ながらメイクを直した。

ドキドキしながら裕也が待っている場所へ行くけど姿が見当たらない。

(あれ…どこに行っちゃったんだろぅ)

不安になりながらキョロキョロしていると、

「ここにいるよ。」

とゆっくり裕也が近付いてきた。

「ごめんね、本戻してたんだ。行こうか」

「…はぃ」

微かな声で返事をすると裕也は微笑み、その表情にドキッとした私は俯きながら、裕也の後を付いて歩いた。

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