☆表の顔と裏の声★
「そうかぁ、2人もあの施設にいたんだ…」

「はい。私と蓮は10年以上、七海は中学入る頃だったかな?一言も喋らないのにニコニコして
可愛かったんですよ~~」

「今も可愛いけどね」

隣に座る裕也は、恥ずかしさで下を向く私の顔を
覗こうとして接近してくる。
私はお酒も飲んでいないのに顔だけじゃなく全身赤くなりそうな気分だった。

そんな2人の様子を、あまりいい顔で見ていないのは...蓮。

けれどそれは裕也の狙い通りだった。

「いいなぁ~七海は~。蓮も言ってたよね!いつも七海に『今日も可愛いなぁ~』って!私言われたことないんですけど!」

「ぁ…あれは妹みたいな感じで言っただけだよ…」

「2人は付き合ってるんだよね?」

「はい!」

「じゃあ蓮くんだってれいちゃんの事可愛いと
思ってるから大丈夫だよ。男はなかなか口に出せないからね」

「えぇ~~でも八嶋さんみたいに『可愛い』とかさらっと言われたら、女は嬉しくてたまらないですよ。ね?七海~?」

私は耐えられなくなりメモに書いた。

【嬉しいかもしれないけど、本心かなんて私にはわからない】

裕也の態度が理解出来なかった……
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