☆表の顔と裏の声★
「よく出たな!偉いぞ七海!」

「…は、ぃ」

「どうせスマホ持ったまま迷ってたんだろ。」

「…!!」

「ところで最後の顔文字って、どういう意味だ」

「…ぃゃ……」

「ん?怒ってもいないし笑ってもないし」

「……」

「困ってる顔か?」

「……」

「悲しい顔?」

「……ぅ…」

「いじけた顔」

「…ぅん…」

「ハッハッハ!やっぱりそうか。」

「ぇ…?」

「だから電話かけたんだよ。俺の声聞いたら
機嫌直るかなと思って」

「……」

「あれ?まだいじけてるのか?」

「…ぃぇ」

「なんか七海と電話してると面白いな」

「……」

「またかけてもいい?」

「…ぅん」

「ありがとう。じゃ、おやすみ」

「はぃ…」


怖かった電話が切れた時、ほっと安心するよりも喪失感の方が大きかった。
もっと、声を聞いていたいと思って。
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