☆表の顔と裏の声★
カウンセリングの時に見せた裕也の涙が
とても気になっていたけど、聞けないまま
2週間が経ち、また私は病院に来ていた。

「こんにちは。今日はすんなり座れましたね」

まずは熊谷先生の診察。
男の人だけど、ほとんど抵抗がない事に驚いた。

裕也はそれも分かっていて熊谷先生にしたのだろう。

「前回大きな声が出たみたいですね。」

「…はぃ」

「八嶋先生のカウンセリングはどうでした?」

【いじわるでした。】告げ口してみた…。

「ははっ意地悪でしたか。きっと青木さんには
その方がいいと思ったんでしょう。でも青木さんがもっと優しい先生がいいと言うのなら変更も出来ますよ」

(そんなつもりで言ったわけじゃないし…
他の人じゃ……ダメだし)

私は俯きながら首を横に振った。

「ですよね。八嶋先生なら青木さんの事理解して2人共が乗り越えられると思いますよ」

(2人共?やっぱり裕也くんにも何か乗り越えなきゃいけないものがあるの?)

あの時の涙は……


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