☆表の顔と裏の声★
意地悪カウンセラーのいる部屋に入る時、私は前よりも強くなっている気がした。

ドアを開けて裕也の顔をじーっと見つめる。

「その目……なんか懐かしいな」

「ぇ?」

「初めて会った時も、俺の事そんな目で
じーっと見てたから」

いつもなら照れて下を向いていたけれど、
今日は違う。裕也から目を離さない。

「今日は七海の話が聞きたいな。話したい事、
なんでもいいよ。書いてみて」

私は迷わず書いた。

【この間、どうして泣いたの?】

「う~ん……七海が泣いてたからかなぁ。
七海はどうして泣いたの?」

【知られたくない事、知られてたから】

「そうか。お母さんはどんな人だったの?」

私の質問からいつの間にか裕也の質問に変わり、
私の手は止まりかけたけど、久しぶりにお母さん
の事を頭に浮かべてペンを走らせた。

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