吐息
いや、そんなことはどうでもいい。
流れゆく景色を眺めながら、真咲さんを見ると口を開いた。
「真咲さん……あの、飛鳥さんのことですけど……やっぱり急にいなくなるのは……」
「なぁ、華」
「は、はい」
「お前は……本気なのか?」
その言葉の意味がわからない。
「っ……え?」
返答に困っていると、真咲さんは前を向いたままつづけた。
「この腐った世界でさぁ、純愛だの求めてるつもりか?」
「は? な、なんでそんなこと……」
「なぁ、華。ひさしぶりに、俺が教えてやる」
今からたっぷりと。
真咲さんが片方だけ口角を上げた。