吐息


彼の声に、迷いは一切含まれていなかった。







しばらく目を丸くしてたアリアさんが、両手で頭を抱えた。





「……ぃやよ。いやよ、いやいやいやいや、なんで? いやよぉ! あたし、ひとりいやだもん! ああ……はやく飲まなきゃ……あれ、薬は? どこ? もってきて、やだ、薬が足りない! ああああぁ……」





彼女が泣き崩れる。





涙で溺れるアリアさん。





泣きじゃくる彼女は、幼い子どものよう。









こんな状況でも……いや、こんな状況だからこそ思う。





可哀想だ、と。









依然、倒れたままの真咲さん。



彼のポケットから溢れる白い錠剤。





アリアさんのそばにも、落ちている。





よく見ると、部屋の隅っこにもーー。









……終わる。





やっと。





この悪夢がーー。







 ーー……やっとあえた。




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