吐息



彼が私のそばにくる。





そして、シーツを肩にかけてくれた。





数日間、監禁されていた彼はひどくやつれていて、泣きそうになった。





「飛鳥さん……」





「話したいことは、山ほどあるけど、でもまずは……肩をつけないとね」





小さく微笑むと、彼は転がっていた社長のスマホから警察へ連絡した。





数分後、サイレンが聞こえてくる。





甲高い高音。





救急車とパトカーが到着するまで、飛鳥さんはずっとそばにいて、私の肩を抱いてくれていた。





お互いに何も言わなかった。





「……」





「……」





触れたところから伝わる熱。





その温かさが、心に沁みた。

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