吐息




「え、どういうことですか?」

「…………いや、なんでもない」

「そうですか」

「うん」


なにか言いたげな顔をしたけれど、私はそれ以上何も訊けなかった。


……ーー。


彼のポケットからスマホが鳴り始めた。

マナーモードにしているから、バイブレーションの微かな音だけが響く。

けど、飛鳥さんはスマホを見ることもせずに、歩いている。


< 32 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop