吐息
「飛鳥さん。電話出ないんですか?」
「うん。どうせアリアだよ。今日、俺が無理やりボーイの担当外れたからさ、怒ってるんだ」
「へぇ……慕われてるんですね」
「慕われてる? こき使われてるの言い間違いだろ?」
皮肉っぽい声色に、なんだか笑えてきた。
しばらく歩いたあたりで、私は立ち止まり、彼に微笑んだ。
「もうすぐそこなので……この辺で大丈夫です。アリアさんに、早く電話してあげてください」
「いや、玄関まで送る。さっきみたいなやつがいたら、心配だし。それに……今日、君の担当、俺だから」
そう言えば、なぜ今日、飛鳥さんが私の担当なのだろう、と思った。