吐息



「飛鳥さん。電話出ないんですか?」

「うん。どうせアリアだよ。今日、俺が無理やりボーイの担当外れたからさ、怒ってるんだ」

「へぇ……慕われてるんですね」

「慕われてる? こき使われてるの言い間違いだろ?」


皮肉っぽい声色に、なんだか笑えてきた。

しばらく歩いたあたりで、私は立ち止まり、彼に微笑んだ。

 
「もうすぐそこなので……この辺で大丈夫です。アリアさんに、早く電話してあげてください」

「いや、玄関まで送る。さっきみたいなやつがいたら、心配だし。それに……今日、君の担当、俺だから」


そう言えば、なぜ今日、飛鳥さんが私の担当なのだろう、と思った。



< 33 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop