吐息
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数刻後、行為を終えたあと、お客はカッターシャツのボタンを留めながら私に言った。
「ふぅ。最高だったよ。次はアリアちゃんじゃなく、華ちゃんを指名するから」
「え……いえ……私はたまたま代わりでお相手しただけで……。アリアさんに……悪いです」
本心だった。
相手の客を取るなんて、気が重すぎる。
それでも、お客は私の思いなど気にもしない。
「華ちゃんは、律儀というか、欲がないというか。でも、そこが気に入った」
次もよろしく。
そう言い残して、お客は帰っていった。