吐息


意識が遠のいていく。


ドサリと床に私は倒れ込んだ。


店内に響きわたるアリアさんの笑い声。


バーのマスターが私を見てる。けど、慌てる風もない。


冷めた目つきでこちらを一瞥したあと、淡々とグラスを磨きつづける。


あぁ、そうか……初めからすべて仕組まれたことだったんだ。


……眠たい。


まぶたが降りていく。


不意によぎったのは、愛しい人の笑顔。


眩しいくらいに笑っている。


ーー飛鳥さん。


力が入らない。


押し寄せる巨大な闇。


けど、もはやどうすることもできなかった。


私は引きづられるようにして、意識を手放した。


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