吐息



彼は、穏やかな笑顔で私を見ていた。


まだすこし身体はだるい。

けれど、ずいぶんと気分がいいことに気づく。


「ここは……?」

「俺のマンション。他に誰もいないから安心して」


そうか……。


私、助けてもらったんだ。


柔らかくて心地の良いベッド……飛鳥さんが眠る場所。


トクントクンと心臓が鳴る。


私が今とても幸福に包まれていることを、ようやく実感した。




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