王女ちゃんの執事2『ひ・eye』焼きそばパン、リターンズ。
「良い大学、良い就職先。そんなものになんの意味があるんだろな」
「そんなこと! ぜいたくに悩めるのは良い場所を知ってるひとだけだよ。自分がいる場所の位置もわかんないひとは、そんなこと悩まない。見えない。選択肢なんて…ない!」
「…………」
 りこうな虎。
 兄ちゃんは今、猛烈に感動している。
 おまえにはわからないだろうが。
「おまえ、するどい」
 立ち上がって、振り向きざまに虎之介の細い身体をぎゅうううう。
「ぃ、ぁぁああああ。ぐ…る、し」
 おれの胸に鼻と口を押しつけられてもだえる虎之介には、こんなのはいじめだろうけど。
 おれはいじめっ子でいいのか。
 もう悩んでいる時間がない。
 なにしろ、たかが期末試験の成績を底上げしたい理由なんて、つまり木村の敵は、志望は東大だと木村にヘドみたいに吐かせた親だよな。
 …と結論するしかないんだから。

 自分のためじゃない不正。
 止めるべきか、止めざるべきか。
 そこが問題、大問題。

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