王女ちゃんの執事2『ひ・eye』焼きそばパン、リターンズ。
「な、足立。木村のID知ってるよな? 今日はちゃんと寝て、また明日学校で――って。おまえも打ってくれないか。おれもするから、その、特別なかんじ、ないと思うし」
「――おせっかいとか、思われない…かな?」
「あいつ、そんな男じゃねぇよ。おれより足立の性格はわかってると思うし」
「でも……」
「クラスメイトを心配すんの、あたりまえだろ? 現に足立は本当に心配してるし。木村は単なる寝不足不調なんだから、別に負担にもなんねえよ。明日はがんばろ…くらい言っても、さ」
「加藤くんも――する?」
「うん」
 ごめんな、足立。
 おれ、うそつきで。
「ありがと。本当にありがとね、加藤くん」
 ああ、もう。
 町田の視線がうっとおしい。
 おれはダメ色救済ボランティアじゃねえ。
 断じてちがうからな。


 足立が『浩ちゃんを、よろしくね』と出て行ったあと、時差をつけるために指揮者椅子に腰かけたおれは、町田にぽけーっと見つめられていた。
「加藤さん、すごい……。すごい金色…です。王女さまも笑ってます。きれいです」
「…………」
 こんなことに慣れていく自分が、おれは怖いよ、町田。
 なので、方針転換。
 おまえを巻きこむ。決定。
 使用法がわからないってあたり、ちと困りものだけど。
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