王女ちゃんの執事2『ひ・eye』焼きそばパン、リターンズ。
「加藤……」
 なんだ?
「結局……、ズルして上げた内申点で推薦取ったら――、おまえ、おれを軽蔑するよ…な」
「なんで?」
「…………」
「…………」
「…………」
 ああもう、しようがねえな。
「おれなんかより、よっぽどりっぱに大学に行く理由あるじゃん、おまえ。とりあえず、おふくろさん黙らせて。それからシャカリキに探せばいいよ。自分にできることとか、楽しいこととか」
「ズルして入った、場所…で?」
「そう思うなら、あと半年、しっかりガリ勉くんになって、それこそ本気で東大ねらえば?」
「簡単に言うんだな」
「だって簡単なことだろ? おまえにはもう、がんばるちゃんとした理由ができたんだから」
「…………」
「なあ、木村、おまえってさ、きっと今まで病弱な兄貴に遠慮して、本気で勝負したことなんて、ねえんだろ。でも本気ださなきゃ母ちゃんはおまえを見ねえぞ。おまえはいつまでも兄貴のスペアだ」
「……っ……」
 そうだ。
 怒れ、怒れ。
 あきらめていても、他人に言われたくないことはあるだろ。
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