王女ちゃんの執事2『ひ・eye』焼きそばパン、リターンズ。
「あれ?」
 袋のなかをごそごそ探っていた木村が取りだしたものを見て、足立の顔がみるみる赤くなる。
「えと、それは浩ちゃんの。――えと、なんか、よく食べてるから、あの、好きなのかなぁ~って」
 焼きそばパン、ね。
 それ、最近のおまえのブームだよなぁ、木村。
 足立はよく、おまえのことを見てるねえ。
 よし、おれらは撤収。
「じゃな、木村。おれはこいつに飯おごる約束してるから。飲み物だけもらうわ。足立、ごち」
「ええ? 加藤さん、おれ、そんな……。いいですよ、おれのことは」
 気のきかねえやつ。
 焼きそばパンを手に真っ赤になってる木村を見てても、それ言うか。
「行くんだよ、おらっ」
 町田の腕をつかんで歩きだしたとたん、首筋の産毛をチリチリさせた悪寒。
「ほら、大丈夫! 大丈夫よ、浩ちゃん。加藤くん男子が好きらしいけど平気だからね。ほら! ちゃんとカレシいるから」
 足立いぃぃぃぃぃぃ。
 いつか泣かす。

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