Fw: R-17〜もう一度、人生をやり直したいですか?〜
「梨沙、おはよ」
「っ! おっ、おは、よ!?」
驚き過ぎて、思わず声が裏返る。
そして後ろを振り返って私は目を見開いた。
───そこには、かつて高校の時に付き合っていた“元カレ”の赤星隼人が立っていて。
嬉しさと懐かしさで、思わず泣いてしまいそうになる。
───……何年ぶりだろう。
昔の記憶と変わらないふわりと柔らかそうな茶髪に、左耳の小さなオニキスのピアス。
「なになに、俺に会えたのがそんなに嬉しい? 昨日も会ったけど」
あの頃と変わらない口調で、ニヤニヤと私の顔を覗いてくる整った綺麗な顔も変わらない。
「は、……はぁ!? 自惚れ過ぎ!」
年甲斐もなく、ドキドキし過ぎて頬がジワリと熱くなる。
……いや、“今の私”は同じ高校生か。
何年ぶりかの軽い調子のやり取りに、自然と心が浮き立った。
「本当、ウチの梨沙ちゃんは素直じゃねぇな」
そう言って、赤星が笑いながら私の頭をくしゃくしゃと撫で回す。
……───懐かしいなぁ。
この今の瞬間が幸せ過ぎて、涙腺が緩む。
赤星とは、いつもこんな感じだった。
中身だけ既に一度大人になってしまった私には、何気ないこんなやり取りが純粋に嬉しくて。
……なんで過去の私は、この幸せを手放してしまったんだろう……と、思う。
周りの女子の視線が無駄にイケメンな赤星に集まる中、私はもう一度チラリと前の車両に移った“彼”を見た。