Fw: R-17〜もう一度、人生をやり直したいですか?〜
見るつもりなんて、なかった。
そんな事、今までの生活でだって一度もなかったのに、……女の勘というやつなのか。
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久々の残業で帰りが深夜になったせいか、眠気どころか変なハイテンションで頭がハッキリと冴えていた私は、いつもはきちんと揃えて置いてある夫の靴が脱ぎ捨てられるように玄関に置いてあるのが妙に気になった。
それから玄関の灯りをそっと消して、暗がりの中をリビングへと廊下を真っ直ぐ進む。
次に私達の寝室ではなく、いつものようにソファで眠っている夫が、今日は何故かコートを着たまま雪崩れ込むように眠りについているのが目に留まった。
いつもはお互いが空気の様でこんな風に気にもしないのに、何故か今日は無性に気になって自分からソファへと近づいた。
すると彼からふわりとお酒の匂いがして、珍しいな、とつい彼の顔を覗き込む。
暗がりの中でも目が慣れてきたのか、夫の顔がハッキリと見えた。
私と同じ32歳である夫が、スヤスヤと眠る寝顔だけは青年のように見えて、久々にこの顔を間近で見たなと思う。
いつもはキッチリとワックスで整えている前髪が今日は下ろされているからか、普段は精悍な顔立ちの夫が少し幼く見えた。
その時、机に放り出されたままの彼のスマホのランプがチカチカと点滅しているのが目に入って、何気なく手に取っていた自分がいた。
夫の物に触れるなんて最近では洗濯物以外なかったし、ましてやプライベートが詰まったスマホなんて触りたいとも思っていなかったはずなのに。
なんとなく、ここまで泥酔している理由がこのスマホの中に隠されている気がして、ちょっとした好奇心からディスプレイをタップする。
暗がりの中漏れた光で、私は反射的に画面の眩しさに目を細めた。
夫のスマホにロックは掛かっておらず、点滅ランプはメールの通知で。
今時SNSのアプリではなくメールでのやり取りに一瞬仕事かとも思ったが、送信者名を見て私は迷わずメールを開いていた。