Fw: R-17〜もう一度、人生をやり直したいですか?〜
4.「よく会いますね」
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なんとか無事に午前中が終わり、昼を告げるチャイムにホッと胸を撫で下ろす。
自分のロッカーだったり、席だったり、細かい事は忘れている事も多いけれど、いざ授業を受けてみると勉強面はなんとなく覚えている自分がいて驚いた。社会人になって数学なんてほとんど使った記憶がないのに、案外覚えているものだ。
15年ぶりに聞く先生達の声は懐かしくも新鮮で、あ、今の私、この先生よりも中身の年齢は上なんだよな、とか。
そんなくだらない事を思ったりもして、午前中は何事も無く終わった。
「梨沙ー、お昼行こう」
美香がコンビニのビニール袋を腕に下げて、携帯を弄りながら私の方へと向かってくる。
物凄い指の速さでボタンを連打しているのを見て、思わず噴き出しそうになった。
そうだった。
この年代はまだスマホがほとんど出ていなくて、まだまだガラケーが主流だ。
スマホに慣れ切ってしまった今の私では、多分メールの返信ひとつするのだって相当時間が掛かってしまいそうだ。
こんなところでもなんだか時代を感じてしまって、あぁ、私今、本当に高校生なんだなぁと実感する。なんとなく私も自分の携帯をポケットから取り出して見ると、メールが届いているのに気が付いた。
【件名:Fw:R-17 完了】
ビクッと一瞬、携帯を持つ手が震える。
途端に心臓がバクバクして来て、私は勢いよく椅子から立ち上がった。
「うわぁっ、何、ビックリするじゃ、」
「ゴメン、私ちょっとトイレ!」
「え、あ、ちょっと梨沙っ! 先に中庭行っとくからねー!?」
慌て過ぎて、美香に返事もせずに私は廊下へと走り出した。