ベランダでキスする関係の名前は?
楽しい時間、集中している時間は呆気なく過ぎてしまうもので…。
「面白かった〜…」
「ハラハラドキドキする展開だったな。」
「グッと引き込まれる世界観だよね! 画面に釘付け状態だった!」
スプラッター映画を見終えて、私と大ちゃんは映画館を後にする。
もちろん帰り道は映画の感想で持ちきりで…。
「最初の殺害シーン…かなり過激だったね。目瞑ってた…」
「2回目あたりからはガッツリ観てたよな? 大きい音にビビってたの面白かった。」
「っ…私の反応の感想はいらないから…!」
微かに、いや、しっかりと。
私が肩を大きく揺らしてビビったのを見て、隣でクスクスと笑っている大ちゃんに気づいていた。
なんか恥ずかしい。
顔を両手で覆い、恥ずかしさを紛らわせようと私は話題転換を試みた。
「晩御飯どうする?」
「春太は部活で夜遅いんだっけ?」
「うん。何作ろう?」
ここからはデートとは言えないようなタイムスケジュールになりそう。
でも、これが私たちの『いつも通り』だから。
これはこれで居心地も気分も良い。
「……生姜焼き食べたいな。」
「いいね!私も食べたい!」
デートの感想は夜、のんびりと2人で話そう。
今日1日は私にとって、間違いなく宝物と言える1日だった。