ベランダでキスする関係の名前は?
中学2年の夏。
《ピーーー!》
蒸し暑い体育館で鳴り響くホイッスルの音。
当時もバスケ部に所属していて、その日は夏休み最後の日だった。汗ばむ腕で額の汗を拭うくらいに気温が高い日。
休憩中に非常口付近で涼むのだけが楽しみになるくらい過酷だけど、楽しい時間。
(……サッカー部やってる…)
グラウンドの方を眺めて、外から吹き抜ける風を全身に受ける。サッカー部が集まっている方向を見て、智樹の姿を探して。
頭の中が恋愛一色な自分。
そんな自分が嫌いで、ピンク色な脳内を掻き消すようにため息をついて首を振る。
そうして再開したその後の部活では…。
「葵!」
「はい!」
ボールを貰い、ゴールに向かってドリブルで切り込んでパス。理想通りのプレーをした後…。
足首を軽くグネった。
「………」
地味に痛い軽度の捻挫。しっかり準備運動をしなかった自分を恨みつつ、でも脳の片隅では『忘れる』って決めたのに智樹のことを探した罰だ、なんて大袈裟に自責(じせき)した。