ベランダでキスする関係の名前は?
筋の通し方

大輝side



「……幼い大輝に言うのもおかしい話かもしれない。でも俺は、ずっと側にいることができないから。」



「いつまでも隣にいて、美鈴と春太のこと頼むな。」



今は亡き、美鈴と春太の父親から言われた言葉。
俺が7歳の時に、病気で他界したおじさんから、足枷(あしかせ)のように色濃く心に刻み込まれた言葉。



今思えば酷な話だ。

何も知らないも同然な小学一年生に、娘と息子をよろしく頼む、なんてさ。



でもその頃は幼いながらに、いや、幼いからこそ。

ひとりの人間として接してくれたおじさんの言葉は嬉しくて、心に温かさを与えてくれた。


< 9 / 83 >

この作品をシェア

pagetop