なんでもない恋 #01 「なるほど」の考察および完璧なスピーカーが欲しい。
 物事には然るべきタイミングが存在する。そのタイミングを逃したら、多かれ少なかれ不愉快な思いを強いられる。

 (りょう)さんにその話をしたら、彼はいつものように、なるほどと軽くうなずいてみせた。その「なるほど」具合は、こちらが困惑してしまうほどの重々しさは感じられず、かと言ってただの相槌に過ぎないと分かってしまうほど薄っぺらな「なるほど」でもなく、丁度よい響きの「なるほど」だ。たとえそれがモニターの向こう側にいる彼であっても変わらない。
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