マネキン少女
「ありがとう!」


屈託の無い笑顔を見ていると、天使が舞い降りたみたいに思えてしまう。


ユリカは何かを思い出したように、真っ白な学習机に向かい、引き出しを開けた。


取り出したのは女の子らしい柄の便箋のセット達。


勿論ユリカはスマホくらい持っているが、大事な思いを伝えたい時は手紙が良いとたまに私にもくれたりする。


そんな、アナログなユリカも大好きだ。


「ねえ、どのレターセットが良いと思う?」
「うーん……。ユリカをイメージした色が可愛いからこれかなぁ!!」


私が選んだのは淡いピンクにレースの柄がプリントされたレターセット。


女の子らしいユリカのイメージにピッタリだと、思って選んだ。


「んー!じゃあ、るるちゃんはこんなイメージかな!!」


ユリカが選んだのは、ブルーの紙に中世ヨーロッパみたいなマークが書かれたシンプルなレターセット。


正直、凄く嬉しい。


「あ、ありがとう。でも、私って、こんなに良いイメージかな?」
「うん。凄く大人で、かっこ良くて、外国なイメージ!!」


大人と言われるのは嫌だが、かっこ良いと言われるのは嬉しい。


外国というイメージを持たれるのは、母がハーフだから私にもその血が遺伝しているのだろうか。


海外に憧れを抱いているから、純粋に喜んでしまう。





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