マネキン少女
「あ、ありがとう!」
「じゃあ、そのレターセットはるるちゃんにあげる!だから、さ、ヒロ君に告白しちゃいなよ!!」


急なユリカからの提案に焦ってしまう。


私みたいな女が告白なんて出来る訳無い__


だって、私は汚れだから。


「私は思ってるだけで、幸せだから……」
「えー!そんなに内向的でどうするの!?きっと、るるちゃんとヒロ君は両思いだよ!!」
「そんな事ないよ……」


困る、困る。


「じゃあさぁ、手紙だけ買いちゃいなよ!別に渡す必要なんて無いんだから!」


ユリカは一緒に手紙が書きたいだけかな。


それくらいなら__


「うん。書くだけなら、大丈夫だよ!」
「やったあー!!願い事はね、口に出したら叶ったりするんだよ!!だから、書くだけでも良いと思うの!!」


こんなに、真っ直ぐでロマンティストなユリカはとても魅力的に思えてしまう。


私、ユリカみたいな友達が居るだけで幸せだよ。


「うん。そうだね!願い事書いてみようかな!」
「うん!一緒に書こう!」


真っ白な猫足のテーブルに、ブルーの便箋を置くと出さない手紙を描き始める。


所詮はごっこ遊びだが、普通の恋する乙女の気持ちが味わえる。
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