マネキン少女
好きな人にラブレターだなんて、私の年齢に見合った行為。


好きの思いを紙に乗せるだけで、明るい気分になれた。


嫌な事今だけ忘れても良いよね?


♢♢♢
ユリカと色々案を出しながら自分の気持ちを書いていき、人生初のラブレターが出来上がった。


その頃には空が赤く染まっており、カラスの鳴き声が日が落ちて来た事を知らせる。


「あ、私。帰らなきゃ!!」
「そっかぁ!るるちゃん。今日はありがとう!」
「ううん!凄く楽しかったよー!」


こんな私でも純粋な気持ちになれた。


「じゃあ、また明日ね!」
「うん!」


ユリカが玄関まで見送ってくれて、靴を履く。


外に出ると綺麗な気持ちで夕日を見ながら、歩き始める。


一生こんな気持ちで居たいが、お世話になっている家に近付く程に気持ちが重くなってゆく。


目的地に辿り着いた頃にはすっかり、純粋な気持ちなど消え失せていた。


扉を開くと挨拶だけ済ませ部屋に入る。


私なんか厄介者だと言わんばかりの空気が漂っていて、自分が存在していいのかさえ分からなくなってしまう。


空虚な感情に侵されて行く感覚を味わいながら制服を脱ぐと、パーカーとジーンズに着替える。
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