マネキン少女
自分に出来ない事を簡単にやってしまうユリカが、かっこよく見えてしまう。


これが、恋なのかも知れない。


「頑張って来てね!!」
「うん!上手く行く事願っていてね!」


そう言って、3年生の校舎に向かったユリカの後ろ姿を眺め続けた。


昨日、幸せそうな顔で先輩への想いを綴っていたユリカの表情が忘れられない。


どうか、上手く行きますように__


そう願いながら教室で時間を潰していると、ユリカが帰ってきた。


その顔は微笑んでいるように見えて、ホッと溜息を漏らす。


「ユリカ。どうだった?」
「手紙は渡せたよ!」
「で、どうなったの!?」
「明日、返事するって!返事も手紙かな?」



ユリカが振られるなんて想像すら出来なかった、私はただただ友人の恋を応援していたんだ__



「うん。きっと、手紙だよ!」



ユリカの不安そうな表情にも気付け無かったんだ。



♢♢♢
この日はユリカの告白が上手くいったら何をしたいかだなんて話しながら、下校する。


ユリカの桜色の唇から出てくるのは、可愛らしい恋の話。


それを聞くだけで、幸せな気持ちになれた。



ユリカとバイバイして、お世話になっている従兄弟の家に歩き出すと、気が重い。

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