マネキン少女
教室に響いていた笑い声が静まる。


助かったと思いながら、ヒロに視線を送ると柔らかい笑みをみせてくれた。


「るるちゃん!るるちゃんちゃんは、俺に告白したの?」


告白なんてする気は1ミリも無かった。


だって、私は汚れているから告白なんかしたら相手に迷惑を掛ける。


大丈夫__
今なら、無かった事に出来るから__


「し、していない……」
「ほーら!黒板に貼られた手紙は誰かのイタズラだよ!」
「なんだ!イタズラか!!」


教室がシラケタモードに変わる。


「ちょっと、待ってー!!俺、るるちゃんに告白されたと思って「好きだよ」なんて言っちゃったじゃないかぁぁぁ!?なあ、お前ら!これ、どう責任取ってくれるんだよ!!」
「ヒロドンマイ!!」
「ドンマイじゃねぇよ!可哀想だと思うなら金をよこせ!!」
「まじ、お前ご愁傷さまだわ!!」


きっと、ヒロは私が注目されないように自分の方に注目を集めてくれているのだろう。


それが痛い程分かる。


私から注目をズラす為だけに、哀れなピエロを上手く演じてくれている、優しい人__


私、この人を好きになって良かった。


この人に出会えて良かった。


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