マネキン少女
この流れに飽きた生徒は、騒ぐ事をピタリと止めた。


それによって、私のラブレター事件は皆の記憶から綺麗さっぱり忘れ去られたのだ。


お陰で私は静かに学校生活を送る事が出来る。


そんな事を考えていると、ユリカが教室に帰って来て、不思議そうな表情を浮かべている。


信じたく無いけど、私のラブレターを黒板に貼ったのはユリカだと思う。


悲しいだけで、ムカついたりはしない。


ただ＿＿


こんな事をされるていう事は、私に至らぬ点があったのだろう。


謝りたい。


自分がユリカを傷付けた理由が知りたくて、ユリカに近付いた。


「あ、あの……」
「なに？」


明らかに不機嫌な表情を浮かべたユリカに言うべき言葉が見付からない。


「ユリカ……。その、なんか、ごめんね……」


いつもは、柔らかい表情の天使みたいなユリカが顔を引き攣らせ、こちらを睨んだ。


「なんで……」
「ん？」


仲直り出来ると思っていた私の耳元に、ユリカの桜貝のような唇がゆっくりと近付いてきた。


「なんで、お前が謝るんだよ……！そういう所が善人ぶってうぜぇんだよ……！」


善人＿＿


ユリカから見た私はそうなのかも知れない。





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