マネキン少女
気が付いたらトボトボとした足取りで、屋上に続く階段を登っていた。


皆が仲良くしている教室という枠でひとりぼっちなんて、無理__


屋上に続く階段を上がり切ると、扉を開いた。


ゾウの鳴き声みたいな音を立てて開く扉が開き切ると、眩しいほどに青い空が広がっている。


キラキラと輝くいていて、綺麗なのだがそれだけ。


感動する事も、心の底から美しいと思う事も今の私には無理なんだ。


美しい自然を見て感動できない私は、汚れているのだろう。


心にドス黒いフィルムが貼られているから、美しさを感じる事が出来ない__


そう考えたら、しっくりと来る。


屋上でひとりぼっち。


それは、団体の中でのひとりぼっちより随分楽に思えて、機嫌が良い。


昔、母が聞いていた曲を鼻歌に乗せて、悲しいメロディーを楽しんだ。


それは、孤独な女をモチーフにした曲で、今の私からしたら痛い程に共感が出来る。


唇から流れる悲しいメロディー。


たまに、私の横を過ぎ去る灰色の風。


不思議とその全てに心地良さを感じていると、ドアが軋む音がして視線をずらす。


そこに居たのはヒロ。








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