マネキン少女
良く見れば見るほどに、作品としての粗が目立ってしまう。


「これは、上手いよ!るるちゃんなら、将来イラストレーターとかになれるんじゃないかな?」


しかし、将来性を褒められる事によってこんな自分でも頑張れば自分の夢に近付ける。


そう考えたら、嬉しくてたまらない。


「ありがとう。将来イラストレーターになりたいな!!」
「るるちゃんならなれるよ!」


そう言いながら、私の頭に伸びた春の手のひら。


励まされている。


そう感じた瞬間、視界がグラリと揺れた。


一瞬何が起きたか分からなかったが、ベッドに押し倒さ、私の上に馬乗りになっている春。


今から、何が起こるのかは分からない。


ただ、不安と恐怖心で全身が震えた。


助けて欲しい__


しかし、叫び声を上げる事もできなければ、逃げる力も無い。


ここから逃げ出さないとヤバイと本能的に身の危険を感じているのに、怖くて動く事が出来ない。


助けて。


心の中でそう祈ったのも虚しく、下半身に手を伸ばされた。


気が付いたらあられも無い姿になっている自分がいる。


こんな姿は誰にも見せられない。


その事実が助けを求めるという選択肢を確実に私から消した。

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