マネキン少女
ほんの少しだが、野次馬が教室の外から私を見ている。


「ほらほら、あの子だよ!!」
「一目で分かる!めちゃくちゃスタイル良いし、綺麗!!」
「うちの学校にモデルが居るなんて、変な感じだよねえ!!」


注目
賞賛
評価


私を取り巻くそれらに心踊る。


学校という箱の中で、誰も私を否定しないし認めてくれているから、自分が生きていると言う事を感じる事が出来るんだ__


生きている__


心臓がドクリドクリと脈を打ち、毛細血管を血液が駆け巡る。


もっと、もっと、仕事が欲しい。


もっと、もっと、認められたい。


私という空っぽな入れ物の中に、生きる為の意味を頂戴。


♢♢♢
注目される。


その感覚に慣れないまま、時間だけが過ぎ去ってゆく。


気が付けば、昼休みになっていた。


今までひとりぼっちだったのに、話を出来る友達がいる。


その事実は嬉しかったが、少し1人になりたいし、心に引っかかっている事が有る。


「私……、少しブラブラしてくるね……」
「行ってらっしゃい!また、話そうね!」


笑顔で見送ってくれた、めぐに「ありがとう!」と言い残し、向かった先は屋上。
< 51 / 181 >

この作品をシェア

pagetop