マネキン少女
普通あんな事をした後に呼ばれたら、焦ったりすると思う。


なのに、ユリカは無邪気な笑みを浮かべてコクリと頷いた。


人気がない場所に移動すると、吐きそうな気分になってくる。それでも、言うべき事を言わなくてはいけない。


「ユリカ……」
「るるちゃんったら、真面目な顔してどうしたのー?」
「ちょっと、ね。ユリカと私の間に距離を取ろうと思って……」
「どゆ事?」
「そのままの意味だよ。うちら、距離を置いた方が良いと思うんだ!」


泣きそうな表情でこちらを見るユリカ。


「やっぱり、昨日の事怒ってる?」
「全部聞いたの!」
「ん!?」
「ユウヤにユリカが裏で言ってる事、全部聞いたの……」
「そんなん、ユウヤの嘘だよ!!」


スクショも見せてもらったなんて、言えなかった。


「ごめん。私が距離を置きたい……」


そう言うのが、精一杯だ。


唖然としたままのユリカを置いて、教室に戻ると虚しい気分のまま席に座る。


HRが始まったが、とても先生の話を聞く気にはなれずに、窓から見える景色を眺めた。


私は何故、こんなにもユリカに嫌われているのだろうか。頭の中は疑問で埋め尽くされてしまう。





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