皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
けれども、今回はそんなことで収まらないのは目に見えている。
舞踏会⋯⋯つまり。
――“城に行け”
それを言えば、私がどんな顔をするのがわかっていながらも、兄さんはそれを口にしたのだ――
「――アイリス」
「!」
背後から投げられた声に、ビクリと肩を上げる。
早急に食器を流した私は、兄さんの横をするりと抜けて、逃げるように部屋へと飛び込む。
「ちょっと、待って。アイリス」
しかし、狭い部屋の中に逃げ切れるわけがなく、食器カゴを抱えていた腕はすんなり捕まってしまった。
珍しく困った顔を前にすると、なんとも言えない気持ちが沸き上がる。