皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
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「――お前、また暴れたのか」
あれからどのくらい経過しただろう。
声の方を振り見ると、カルム団長が床に転がっていた短剣をひろいあげているところだった。
呆れたような表情ではあるが、以前のように襲いかかってきたりはしない。おそらくクロードさんに、徹底的に指導されたのだろう。
一方、ルイナードは、先ほどやってきたクロードさんに呼ばれて軍事会議へと向かった。
『ここは、自由に出入りして構わない。しかし、しばらくマーシーと二人で会うことは禁じる――』
こちらを振り向いて何か言っていたけれど。全然頭に入ってこなかった。ぼんやりと覚えているのは、変わらぬ涼し気な横顔と姿勢のいい後ろ姿のみ。
「お前なんかが、陛下に適うわけないだろ」
「⋯⋯会議には出ないの?」
目の前にやってきたカルム団長から短剣を受け取り、サッと鞘に収めた。
今はルイナードの話をしたくなかった。
「残るように言われたんだよ。俺が出ないと回らないだろうにな。⋯⋯陛下はどれだけお前を過保護に扱えば気が済むのか」
また、わけのわからないことを。
「何言ってるの⋯⋯。私のためではないわ」
「――お前、また暴れたのか」
あれからどのくらい経過しただろう。
声の方を振り見ると、カルム団長が床に転がっていた短剣をひろいあげているところだった。
呆れたような表情ではあるが、以前のように襲いかかってきたりはしない。おそらくクロードさんに、徹底的に指導されたのだろう。
一方、ルイナードは、先ほどやってきたクロードさんに呼ばれて軍事会議へと向かった。
『ここは、自由に出入りして構わない。しかし、しばらくマーシーと二人で会うことは禁じる――』
こちらを振り向いて何か言っていたけれど。全然頭に入ってこなかった。ぼんやりと覚えているのは、変わらぬ涼し気な横顔と姿勢のいい後ろ姿のみ。
「お前なんかが、陛下に適うわけないだろ」
「⋯⋯会議には出ないの?」
目の前にやってきたカルム団長から短剣を受け取り、サッと鞘に収めた。
今はルイナードの話をしたくなかった。
「残るように言われたんだよ。俺が出ないと回らないだろうにな。⋯⋯陛下はどれだけお前を過保護に扱えば気が済むのか」
また、わけのわからないことを。
「何言ってるの⋯⋯。私のためではないわ」