皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
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「そういえば、さっきクロードさんから言付けを承った」
すでに綺麗だった墓石を軽く吹き上げながら、思い出したように顔を上げるカルム団長。
私は、花を供えていた手をピタリと止めた。
「⋯⋯なにを?」
彼はバケツで雑巾を絞ったあとに、立ち上がるついでに私睨みあげて――。
「『そろそろ陛下と食事を再開していただけませんか?』だとよ」
「――――」
「何があったか、わからねぇけど、もう三週間だぞ? 毎日陛下がお声かけてくださるのに、いつまで意地はってんだよ」
すでに供えてあったブルースターを見つめたまま、私はどう答えればいいのか考えあぐねた。
そう――。
書庫での一件以来、私はルイナードとなるべく顔を合わせないように生活をしてきた。
共にしていたディナーの席は理由をつけて断りつづけて、部屋の外での用事は、彼の公務の時間内に済ませるようにしている。
しかし、避けているのは私だけで。ルイナードの方は悔しいくらいに平常だ。
あの日もいつも通り食事に来るように誘ってくるし、顔を合わせれば毎回体調を伺ってくる。
「そういえば、さっきクロードさんから言付けを承った」
すでに綺麗だった墓石を軽く吹き上げながら、思い出したように顔を上げるカルム団長。
私は、花を供えていた手をピタリと止めた。
「⋯⋯なにを?」
彼はバケツで雑巾を絞ったあとに、立ち上がるついでに私睨みあげて――。
「『そろそろ陛下と食事を再開していただけませんか?』だとよ」
「――――」
「何があったか、わからねぇけど、もう三週間だぞ? 毎日陛下がお声かけてくださるのに、いつまで意地はってんだよ」
すでに供えてあったブルースターを見つめたまま、私はどう答えればいいのか考えあぐねた。
そう――。
書庫での一件以来、私はルイナードとなるべく顔を合わせないように生活をしてきた。
共にしていたディナーの席は理由をつけて断りつづけて、部屋の外での用事は、彼の公務の時間内に済ませるようにしている。
しかし、避けているのは私だけで。ルイナードの方は悔しいくらいに平常だ。
あの日もいつも通り食事に来るように誘ってくるし、顔を合わせれば毎回体調を伺ってくる。