皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】

そんなふうにして胸を痛めていると、


「――ルイナード陛下は、来ない」


突然その情報は降ってきた。

思わず持っていたカゴが手から離れてしまい、慌てた兄さんがそのまま受け止めて、テーブルへと避難させた。

声もあげられなかった。


「お前が危惧してるのはそれだろう? 団長から聞いたから、情報は確かだ。だから向こうで鉢合わせする可能性はない」


久々に聞いたその名前に激しく動揺し、私は思うように口が開けなかった。


胸がザワザワして、息が苦しい。


近くにあった椅子を引いた兄さんは、私をそこに座らせ、そして真剣な面持ちで告げた。

「だからアイリス、お願いだ」

「⋯⋯⋯⋯」
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