皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
「⋯⋯ネスカとヘリオンスの国境で、橋の新設を巡ってデモが続いているんだよ」
途端に心中がザワリと音を立てた。
ヘリオンス国。ヴァルフィエ帝国の国民たちは、その国の一部の人たちを、“厄介者”と呼んだり“反皇帝組織”とも呼ぶ。
ずっと目立った動きは無いと言われていたのに、組織に再び動きが見え始めたとのことだ。
お父さまの事件の引き金となった彼らの存在は、ルイナード同様に――いえ。それ以上に私が恐れている存在でもある。
「これ以上大きくならなければいいんだがな」
説明を終えたあとに、カルム団長はポツリとつぶやく。しかし、言葉とは裏腹にその目は鋭く遠くを見据えていた。