皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
まるで今にも泣き出しそうな空のした。大きな花瓶には鮮やかな花がたっぷりと盛られ、茎の切り口の香りが辺りに漂っていた。
今日の花は、私の大好きなブルースターと、マーガレットとルドベキアだ。
夜の庭園でルイナードと偶然会ってから数日。こうして未だに私のもとにへ艶やかな花が贈られてくる。
「ほんとうに⋯⋯なんなのよ」
あれから幾度となく、あの夜の記憶が頭を駆け巡る。
『俺の想いは⋯⋯昔から何ひとつ変わっていない―――笑いたければ、笑え⋯⋯』
お父さまの事件があって以来。彼の気持ちは全て偽りだと思っていたのに。
淋しげに離れていった温もりを、ただ、ぼう然と見送ることしかできなかった。
これも彼の策略なの?
彼の胸の中で感じた全てが、まだはっきりと身体中に刻みついて離れない。