皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
――だから、それまでは
ルイナードとの向き合い方を、じっくり考えようと思っていたのに。
彼は、ここにいないのにも関わらず、私に悩む時間すら与えてくれないようだ。
ほんとうに。
私の心を、どれだけ掻き乱せばすむのよ――
「おとうさま、今日は天気いいわね」
「アイリス、水汲んできたぞ――」
午後の太陽が真上を過ぎた頃。バケツと雑巾を準備した私たち兄妹は、今日も散歩がてらお父さまのお墓までやってきた。
雨の降ってる日を除いては、午後は毎日ここを訪れている。
「――アイリス?」
「⋯⋯あぁ、ありがとう、兄さん。墓石拭いてくれる? 私、花の準備するわね」
「了解」
ふと、物思いに耽てしまいそうな自分を叱咤しながら花を生ける準備に取り掛かる。
庭園を散策して、花壇の花を少しばかりいただき、その足でここまでやってくる。その一連の流れは変わらない。変わったのは、同行する相手――だけのはずだ。
「いや――しかし、これをカルムさんが毎日やっていただなんてなぁ⋯⋯」
雑巾をしぼりながら、兄さんは頭の中で映像を過ぎらせたようで、ししし、と含んだような笑いを起こす。
もう、またそんなこと言って。