皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
「⋯⋯デモはすぐに収まって、橋の工事視察をしていただけなんでしょう?」
「⋯⋯⋯⋯」
「なんで、こんな怪我を⋯⋯?」
治療中のルイナードへ、立て続けに問いかける。
左前頭部には縫合の痕。その上澄みには腫れた打身の形跡。
思わず目を背けたくなるほどに痛々しい。
一体どんな経緯でついたのか、わからないけれど、この傷によりルイナードがとても痛み苦しんだということなら想像できる。
でもルイナードは何も答えようとはしなくて⋯⋯。
そんな彼に、どかしい想いを昂らせていた、そのとき。
「⋯⋯視察の途中で瓶を投げつけられたと、聞いてきたよ」
代わりに背後から声が降ってきた。