皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
「もっと大きく出るべきではないの?」
ふいに、本音がこぼれおちた。
視界の端でクローゼットを開いていたルイナードが、動きを止めて、静かに私へ視線を移すのがわかった。
「⋯⋯なに?」
感情の見えない面差しに、ビクッと口を閉ざしそうになりつつも、意を決して意見した。
「皇帝への因縁を理由に妨害を受けて⋯⋯怪我までしたのに。黙っていていいの? あなたはこの帝国の皇帝なのに⋯⋯。少しくらい罰を与えても――」
君主のやり方に意見するのなんて間違えている。
けれども、あまりのやりきれない想いに、黙っていられなかった。
「――なら、お前はどうする?」
「え⋯⋯?」
唐突な切り替えしに、目を剥いた。
温かみのない、凍りつくような視線。身体がゾクリと震えそうだ。
「黙ってはいられないお前なら、どういう判断を下すと聞いたんだ。答えろ」
軍服を脱ぎ落とした彼は、素肌の上に新しくジャボのあしらわれたシャツさらりと羽織り、試すような黄金色を携えてこちらに歩んできた。
シャツの奥から魅せられる、割れた腹筋と逞しい胸元。
しかし、その上にある極上の顔には、静かな怒りにも似た何かが見え隠れしていて。私は恐怖で身動きが取れなくなる。